| 研究概要 |
1.2次元角柱導体からの散乱問題に対して本研究者らが考案した内部グリ-ン関数を用いる新しい解析法を適用し,最小自乗法を適用することにより,内部に任意の波源を仮定した場合であっても,妥当な結果が得られることを示した.次にこの手法を携帯電話機内蔵アンテナの基本構造である立方導体上のスロットアンテナの解析に適用して実験と比較した結果,2次元問題と同様に妥当な結果が得られることを確認した.
2.従来のガラ-キン・モ-メント法による解析も併せて行い,上記1による結果と比較した.その結果,両者は良く一致することが確認された.また,定式化が容易であること,数値計算に要する時間が従来のモ-メント法の約1/10であることなどが示され,新しい解析法の有効性が明らかとなった.
3.上記1の方法をさらに改良するために,変分原理を導入した方法について検討を行った.その結果,1の方法に比ベて約1桁数値計算の能率を向上させることができた.この手法を立方導体上のスロットアンテナに適用して解析し,従来のガラ-キン・モ-メント法に比ベて約1/100の数値計算時間で解析できることを示した.したがって,本手法はかなり実用的な携帯電話機用アンテナの設計手法になり得るという見通しを得た.ただし,立方体の寸法によっては,物理的に非現実的な解が得られることも判明し,今後の課題を残している.
4.筆者らが開発した携帯移動無線機内蔵の小形アンテナ(S形アンテナ)について実験を行い,小形化,広帯域化を図った結果,800MHz帯で約8ccの小形内蔵アンテナを開発することができた.
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