研究概要 |
1.初通過問題:この問題は確率過程があるレベルを通過した後,任意のバリア-レベルと交差するまでの時間を扱うものであるが.1)最初のレベルを通過した後これとは再び交差することなく直接バリア-に至るもの(direct passage time)と,2)最初のレベルを通過した後任意回(0回を含む)のこれとの交差を経てバリア-レベルに至るもの(usual passage time)とに分けて実験的に調べた.対象とするランダムプロセスは,レイリ-過程とガウス過程である.初通過時間のバリア-レベル依存性を,平均値,分散,分布等について調べた. 2.正弦波+ガウス過程の位相のレベル交差: 振幅のレベル交差の問題とは異なり,上向き交差と下向き交差は交互に起こるとは限らないので,交差間隔について新しい定義を導入した.対象としたランダムプロセスは,ガウス型とバタワ-ス型の電力密度スペクトルを有するガウス過程である.前者では,疑似独立の仮定が良く当てはまるが,後者では振幅のレベル交差で見られるレベル交差時間分布の多峰性が観測された。 3.自己相関関数の推定:二つのレベル間での4種類の通過時間間隔のRice関数から,元のランダムプロセスの自己相関関数を推定する方法を考案し,Rice関数の計算値と測定値から推定を試みた.測定値を用いた場合は,測定値のゆらぎが問題となり,適当な関数を用いたスム-ジングが必要であることがわかった. 4.ガウス過程のカ-ブ交差:ガウス過程があるカ-ブを交差する場合の時間間隔のRice関数は,自己相関関数から導かれる特定の曲線群について不変であることを見いだし,この性質を利用して自己相関関数を推定することを試み,良い結果を得た。
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