研究概要 |
滑らかで有界な三次元凸形状を対象にして,その高能率符号化法を明らかにするため,能率的な形状の表示法,標本化ー再生法および量子化法を理論研究とシミュレ-ションにより追求し,以下の結果を得た. 1.曲率に基づく形状の能率的な表示法として接平面極座標表示法を提案し,本表示関数をもとに導入した電力スペクトルが形状の平行移動,回転に対して不変であること,また,低域通過形の特性を持つことを明らかにした. 2.上記の性質から,空間にとった座標系と独立な不変量としての形状の帯域という量を定義でき,完全に帯域制限されている形状では,表示関数の有限の標本値から形状を復元できるという標本化定理を得た. 3.帯域制限されていない形状では,有限標本値からの再生形状に歪が生じるが,この形状歪電力を最小にする最適標本点の選定法とその分布を明らかにした. 4.本接平面極座標表示法では,従来の極座標表示法より電力スペクトルが狭小化されるため,上記の最適標本化法を適用することにより少ない標本点数で能率的に形状を標本化ー再生できることを形状歪のS/N評価とシミュレ-ションによって明らかにした. 5.本接平面極座標表示による量子化法として,表示関数の標本値のスカラ量子化方式,スペクトルのスカラ量子化方式及びgainーshapeベクトル量子化方式の3種の構成法を明らかにした.これら3方式に関して量子化誤差の理論解析を行い,量子化レ-ト対形状歪のS/N特性評価と量子化器の実現性の点からスペクトルのスカラ量子化方式が最も優れていることを明らかにした.本結果は,形状の標本化ー量子化ー再生系のシミュレ-ションにより確認した. 今後の課題として,一般の三次元形状への本理論の展開が重要である.
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