この1年間で代数幾何符号の復号法に関する重要な研究成果が各国の研究者により発表されたので、これらの文献の収集と理解に努力した。最初でしかも画期的な内容の論文であるJustessen等(デンマ-ク)の論文以外は、投稿中の論文であるが、これらも本報告者が本年1月にIEEE情報理論国際シンポジュウムに論文発表のため渡米した機会を利用して入手することが出来た。代数幾何符号の数学的基礎である代数曲線論に関する図書も科研費により多数購入することが出来た。 代数幾何符号に関する研究は徐々に活発に成りつつあるが、どの論文も代数曲線論に関する多くの数学用語や定理を予備知識として仮定しているので、有限体の知識しか持たない従来の符号理論研究者がその内容を理解して応用することは不可能である。 本研究の主目的は、このような状況を打開し研究者の拡大に貢献することである。そのためには、有限体上の代数曲線とその上に構成される符号に関する初等的でしかも厳密な取扱法を述べた解説書を書く必要がある。本報告者がこれを成すためには、後1-2年の時間が必要である。
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