研究概要 |
1. 高集束イオンビ-ム露光特性の測定と解析 Si基板上に蒸着した遷移金属酸化物(WO_3, MoO_3,Ta_2O_5,V_2O_5およびそれらの混合物)のアモルファス薄膜が,いずれも集束イオンビ-ム(FIB)露光に対して,非線形性のきわめて強い高コントラストネガ形レジスト特性を示すことが見いだされた。 レジスト感度,コントラストおよびドライエッチング耐性などの特性とレジスト膜の材料パラメ-タとの関連が系統的に明らかにされた。 2. レジスト効果発現機構の解析と限界解像度の検討 FIB露光前後の電気的・光学的・電気化学的特性の測定,SEM観察,組成・構造解析(AES),ならびには試料内におけるGa^+ビ-ムのエネルギ-損失プロファイルの理論計算などにより,レジスト効果のミクロな機構が定性的に明らかにされ,各材料のレジスト特性の違いを共通の枠組みの中で総合的に説明できた。また,解像度の最終的な制限要因はFIBのビ-ム径であり,ナノメ-タレベルの細線構造が実用的な露光時間で得られること, 徴細パタ-ンが100nm以下の解像度で得られること,などが判明した。 3. ULSIプロセス技術,量子細線作成などへの応用 100nm以下の寸法精度で酸化物レジストパタ-ニングを行った後、 H^2雰囲気での還元熱処理によって、技術的に有用な高融点金属(W, Mo)の極徴細パタ-ン(幅が50nm)を単結晶Si上に作成できることが確認された。これにより,本研究で開発された技術がULSIの配線,ゲ-ト電極作成,X線露光マスク作成, ギガヘルツ帯表面弾性波デバイス, さらには量子細線構造作成などへ広く応用できる見通しが得られた。
|