本研究は、我々の研究室が進めているMOS型光位置センサ(PSD)の開発の一環として行なわれた。この平成元年度では、本センサが交流LPV(Lateral Photovoltage)の位相を光位置信号とする場合において、如何に二次元センサとしての性能を発揮し得るかを、シミュレ-ションと実験によって明らかにした。その結果を以下に要約する。 1.RCネットワ-クの等価回路モデルを用いてシミュレ-ションを実行し、次の点を明らかにした。 (1)強度が均一であいスポット状の光が入射する場合でも、本センサは光の重心位置を良好な線形性をもって検出する。このことによって、本センサの二次元センサとしての有効性が確かめられた。 (2)スポット光の二次元位置検出特性のシミュレ-ション結果は実験結果と良く一致した。従って、ここに採用したRCネットワ-クの等価回路モデルは本センサの最適化設計に有効なツ-ルとなる。 2.Al-SiO_2-Si構造の二次元PSDを試作し、その特性を測定することによって次のことを実証した。 (1)本センサは、線形性の点においても、従来のp-n接合型PSDの最上級のものと同程度以上である。 (2)1ミクロンの二次元位置分解能を簡単な位相測定システムで実現されることを実証した。 (3)センサ自身の応答時間は10^<-3>s以下であるが、現在使用している測定器を含めたシステム全体では数桁大きくなる。自動制御への応用を考えて、この速度についての改善特に位相測定計の高速化が望まれる。 なお、2(1)の結果から、本センサを大面積化すれば実用状問題となる分割数(線形領域の長さ/最小検出変位)についても、従来のものを超えることが期待できるので、現在この点を追及すべく進めている。
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