研究概要 |
制御系においてその構成要素に故障が発生しても,システムの安定性が損なわれることがないようにするには,コントロ-ラをどのように構成したらよいかという間題を次の3つの方向から検討した,すなわち, 1.<むだ時間を含むシステムにおけるロバスト制御系の構成理論>___ー・制御系における故障発生の結果,システムの特性が変動しても不安定にならないようにコントロ-ラを構成する,いわゆるロバスト制御の間題に関して,特性変動がシステムのパラメ-タの変動となる場合について検討した。対象としたシステムはむだ時間を含む線形システムであるが,これを関数空間上の作用素方程代によって記述し,リアプノフおよびリカッチ方程式の性質を用いることによって、広い範囲にシステムを包含する一般理論を構築することができた。 2.<H^∞制御理論によって構成されたシステムのゲイン余有の検討>___ー・ロバスト制御系を構成する方法論として,H^∞制御理論が近年急速な発展を見せている。H^∞制御理論によって構成された最適状態フィ-ドバックシステムについて、システムのゲインが変動した場合に(a)閉ル-プシステムの安定性が保たれるゲイン変動の範囲,(b)最適条件を満たすゲイン変動の上限を検討した結果,これが無限に大きなゲイン余有をもつこと,すなわち任意に大きなゲイン変動に対しても安定で,かつその際にも最適条件が満されていることを明らかにした。 3.<外乱が加わったときの影響を軽減するコントロ-ラの構成理論>___ー・制御系におけるある種の故障は,等価的にシステムに外乱が加わったものとしてモデル化することができる。そのような外乱に対して,その影響ができる限り出力に現われないようにコントロ-ラを構成する,いわゆる外乱抑制問題に対して,(a)最適性を考慮するH_2/H^∞混合制御問題,(b)微分ゲ-ムとの関係,(c)漸近的外乱抑制問題,(d)Finite Horizon 問題を検討した。
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