研究概要 |
本研究は,日本人の自由音場における純音の正常等ラウドネスレベル曲線,および,最小可聴値(MAF)を測定し,国際規格改訂の際の基礎デ-タとして資することを目的として,平成元年より平成2年にかけて実施されたものである。等ラウドネスレベル,および,最小可聴値のの測定は,それぞれ恒常法,極限法を用いた.また,高度な自由音場,および,超低暗騒音の環境を得るために、主として電子技術総合研究所大無響室を利用して測定を行った.これまで,以下に示す範囲について測定を実施した。 最小可聴値 31.5Hz〜16kHz 等ラウドネスレベル 20phon 31.5Hz〜12.5kHz 40phon 31.5Hz〜 8 kHz 70phon 63 Hz〜 8 kHz 90phon 125 Hz 一連の実験から,次のような興味ある知見が得られた. (1)本研究により得られた等ラウドネスレベルは,1kHz以下で,現行の国際規格である ISO 226 より明らかに高い値を示した.その差は,大きなところで約15dBにもおよぶ. (2)最小可聴値はISO 226 にほぼ一致したものが得られた.細かく見ると,本研究の結果は ISO 226 より 16OHz 以下で 3,4 dB高く,400Hz以上で2,3dB低くかった. (3)等ラウドネスレベル曲線,および,最小可聴音場の1kHz〜2kHzの範囲において,他の研究結果には見られない特性の盛り上がりが観察された.頭部伝達関数を測定したところ,その範囲に頭部伝達関数のディップが存在し,特性の盛り上がりは,その反映であることが分かった。
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