研究概要 |
嫌気・無酸素・好気プロセスの反応槽内に有核微生物フロックを形成させ,反応槽内の微生物を高濃度に保ち,都市下水から有機炭素,窒素およびリン化合物を除去する室内実験を行なった.また,同プロセスの小規模下水処理施設への適用を考慮して,流入基質の角荷変動に対応でき,かつ,有機炭素,窒素およびリン化合物の高率な除去が常に可能となるような運転条件を明らかにするために,反応槽を多数の小室(セル)に分割して表したセルモデルによる解析的な検討も合わせて行なった. その結果,有核微生物フロックの大きさは反応槽の攪拌強度の関数として表されることが確認された.また,粒子径0.1mmのガラスビ-ズでは,ガラスビ-ズ1個が有核フロック1個を形成したが,粒子径0.05mmのガラスビ-ズでは,7〜11個が有核微生物フロックを形成していることが分かった. セルモデルによる解析から,本プロセスの窒素およびリン除去率を,BOD容積負荷,槽内微生物濃度,滞留時間の積の関数として表す式を提示した. 室内実験から式中の係数を決定し,室内実験および実施設と都市下水を用いて行なわれた本プロセスの実験結果を用いて提示した式の検証を行なった. 室内実験の窒素化合物の除去率では,実験結果が大きくバラついた循環比R=1および1.4をのぞいて,計算値は実測値にほぼ一致した.リン化合物の除去率では,計算値は実験値にほぼ一致した. 実施設による実験では,窒素除去率の計算値が実測値を15〜25%下回り,リン除去率の計算値は実測値を10〜20%下回った.
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