研究概要 |
高温加熱を受けるコンクリ-トの力学的特性は,温度のみならず加熱によって生ずる含有水分の急速な移動に大きく支配される。そこで本研究では,硬化セメントペ-スト,モルタル及びコンクリ-ト試験体を用いて,加熱による水分逸散過程,水分逸散と乾燥収縮の関係及びクリ-プ変形に及ぼす温度と湿度の影響等について理論的及び実験的に検討した。成果の概要は以下の通りである。 1).モルタル及びコンクリ-トの円柱試験体を用いて数段階の加熱実験を行い,水分逸散過程や弾性係数及び強度に及ぼす加熱温度と調合の影響について検討を行うと共に,水分逸散過程について非線形拡散方程式を有限要素法により解く事により,その過程を支配するパラメ-タを値に及ぼす調合等の影響及び含有湿度分布の変化過程について論じた。 2).高温加熱下のコンクリ-トの水分逸散過程,コンクリ-ト中の水分が逸散する事によって生ずる乾燥収縮,そして温度・湿度の影響を受けるクリ-プ変形挙動を解析的に予測する理論的方法について検討した。水分逸散過程は,拡散方程式によって解析する事が可能であるが,含有水分の変化に伴って時々刻々と場所毎に拡散係数が変化する為に,高度に非線形な現象となる。そこで有限要素法を導入し,非線形拡散方程式を解く事により,試験体内部の含有湿度分布の変化過程をシミュレ-トする方法を開発した。これを,コンクリ-トの高温加熱実験結果に適用し,加熱前の気乾養生が水分逸散過程に及ぼす影響等について検討した。 次に,水分逸散量と乾燥収縮変形との関係を表す簡便式を提案し,実験結果と比較する事により適合性を検証した。更に,既往の実験的研究結果から二重べき関数クリ-プ表現式のパラメ-タ値と含有湿度との関係を関数に表現し,二重ベき関数クリ-プ則の一般化を図った。この様にして得られた関数を既往の実験結果と比較する事により検証した。
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