| 研究概要 |
我国中高層ビルの殆どは,我国独自に発達した,鉄骨鉄筋コンクリ-トで造られている。この鉄骨鉄筋コンクリ-ト構造の耐震要素として,通常鉄筋コンクリ-ト耐震壁が使われている。本研究は,鉄骨鉄筋コンクリ-ト耐震壁として,通常の鉄筋コンクリ-ト耐震壁とその効果,次に鋼帯ブレ-スを鉄筋コンクリ-ト耐震壁に挿入した,言わば,オ-プン・ウェブの場合の抵抗,変形性状とその効果,最後に,鋼板を鉄筋コンクリ-ト耐震壁にサンドイッチ挿入した,言わば,フル・ウェブの場合の抵抗,変形性状とその効果,及び,この鋼板耐震壁の基礎抵抗,変形性状,特にその抵抗メカニズムの解明のための無被覆鋼板耐震壁について実験的,解析的解明を行ったものである。
第1段階の,汎用されている鉄筋コンクリ-ト耐震壁では,周辺ラ-メンが剛強な鉄骨鉄コンクリ-トである結果,耐震壁が,スリップ破壊を起こす場合が多くなり,周辺ラ-メンと壁体との剛性により,これら抵抗,破壊モ-ドの境界条件が解明された。
次いで,鋼帯ブレ-ス入り鉄筋コンクリ-ト耐震壁は,若干,実用化されているが,その効果は鉄筋コンクリ-ト耐震壁の鋼帯の座屈抑止作用によって発揮されるものと期待されるが,結果は大差ない。
最後に,フル・ウェブ型式に対応する鋼板入り耐震壁では,鋼板の斜張力場形成に伴う抵抗,変形性状の変化はきわめて大きく,鋼板耐震壁の挿入に伴う靭性の改善は,きわめて大きい事が実証された。この場合鋼板の斜張力場形成に伴う周辺フレ-ム,特に梁材は,鉄筋コンクリ-ト耐震壁の場合とは逆に内側に強烈な引張をうけるため,この周辺フレ-ムの補剛を考慮せねばならぬ事がわかった。鋼板耐震壁に被覆強筋コンクリ-ト耐震壁を加えた効果は,初期剛性の増大,最大耐力の上昇となって表れるが,靭性は,その挿入鋼板によって発揮される。
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