研究概要 |
本研究は,出来る限り一般の建築家が持つ図形処理に関する知識を活用して,自律的に美しい建築立面の意匠設計を導き出すシステムを構成する一環として,図学や製図の訓練を十分経ていない使用者にも,3次元立体があるがままに認識できるビジュアル・インタ-フェ-スを開発するのに必要な基礎的研究をおこない,以下のような成果を得た。 1.自然な立体感のある立体画像を得るには,観察時の視点と作図時の視点を一致させる必要があり,これがずれるなど,視点位置と画面位置および対象位置相互間の関係が立体視におよぼす影響は,図学作図を通して,十分に解析し得る。 2.アナグリフ方式の立体視では,通常視以外に,眼鏡を左右逆にして眺める逆視,ハ-ドコピ-して得られた画像を裏返して眺める裏視等が考えられ,このうち裏視で眼鏡を左右逆にして得られる立体視像は,正常視で得られる画像の鏡像として歪みなく見える。 3.14'カラ-CRT上に自然な奥行き感のある立体画像を表示するシステムを,上記の成果をもとに作成し,プログラムの形で明らかにした。 4.カラ-液晶表示ユニットを用いたOHP用電子投影装置(InFocus社製PCV IEWER)と携帯用パ-ソナルコンピュ-タ-(日本電気KK製PCー9801NC),およびワイヤ-フレ-ムモデルによるアナグリフ方式の立体視画像作成プログラムと赤緑眼鏡の組合せにより,縦1.2m×横1.8mの大画面で使用できる高速な立体視プレゼンテ-ション・システムを構成した。この場合の作図時と鑑賞時の視点のずれ対する許容誤差の範囲は大層狭く,画面より8m離れた位置から視察した場合で前後左右とも1m以上はずれれば,得られる融合像は歪んだ。この歪み方は,図学における透視図法の原理を応用して予測した結果と一致した。
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