研究概要 |
1.交通網整備計画策定に際しては,地域の状況を的確に把握するため膨大な量の数値情報や地図情報を取り扱う必要がある。しかし情報量が多くなると,それらの加工や解析処理に多大な労力を要するのはもとより,それらに投影された問題点や計画策定の指針を把握する作業,特に場所と結び付けた考察は難しい。そこでコンピュ-タグラフィックス(CG)を利用して,膨大な数値情報を地図と重ね合わせながら視覚的に表現する技術の開発を目的に研究を進めて来た。研究の過程では熊本都市圏における交通網整備の検討作業を事例に取り上げた。 2.個別交通機関あるいは公共交通機関で移動する場合の移動利便性評価やIA法による自動車交通流分布の解析など,解析用プログラムと解析の基礎資料や解析結果をCG表示する評価用プログラムを作成した。解析に使用する数値情報が増えると指数的に計算量が増えるため,本研究では,(1)解析と(2)数値情報の編集およびCG表示をそれぞれ,LANで結んだワ-クステ-ション(WS)と高解像度ディスプレイ付きパ-ソナルコンピュ-タに分担させた。WS上で両方を実行することも可能であるが,高性能の機器を長時間占有したくないという判断による。 3.熊本都市圏を事例に国勢調査調査区別情報,総合交通体系整備計画策定調査委員会から提供された基礎情報を上述のプログラムで解析・表示できるよう加工した。情報の基礎的考察はもとより,解析作業を通して熊本都市圏における環状道路網や環状路線パス網整備の必要性を示した。前者については2000年までに実施が見込まれる幹線道路計画の整備効果の分析も行った。 4.CGの応用により,(1)大量の数値情報を場所と結びつけて考察できる,(2)全体像の把握と局地的な情報の詳細の検討という,表現的に合い矛盾する条件を克服できることなどを示した。
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