研究概要 |
1.研究目的:天然ガス・地熱井の掘削深度は,より深くなり,それと共に地層温度が上昇し,掘削泥水の温度管理・地層平衡温度の早期予測計算のため,高温下における泥水の熱物性値が必要になってきた。しかし,これまでにそれを測定できる実用的な装置は開発されていない。本研究の主目的は,それを開発することである。 2.平成元年度:外径0.65mmのインコネル・シ-ス破覆の長・短2本のプロ-ブを用いる非定常細相殺法を開発し,4ないし10%濃度のベントナイト基本泥水の熱伝導率λに及ぼす温度の影響を室温から250℃までの温度範囲において明らかにした。すなわち,泥水のλは,泥水の養生温度により変わり,それが100℃以下の場合には濃度範囲0ないし10%において,λは濃度及び温度の増加とともに増加[0.7から0.85W/(m・K)]するが,200℃では,λは濃度の増加とともに増加するが,温度依存在性は前者と逆になる。測定精度±7%以内と推定される。 3.平成2年度:ベントナイト泥水の熱伝導入λへの各種添加剤の影響を明らかにするためには,より精度の高い測定システムが必要となったため,まず,装置の改良を行った。すなわち,外径52μmのポリイミドイミド破覆の長・短2本のU字状白金細線[白金線直径は40μm,長さはそれぞれ約450mm及び250mm]を用いる相殺法を開発した。その結果,電圧変動のλの測定値への影響は、その平均値に対し純水では±2.0%以内及びグリセリンでは±1.4%以内であった。それらの測定値との差は,純水では温度25ないし50℃の範囲において±3.2%以内,及びグリセリンでは20ないし150℃で3.8%以内であった。20℃濃度10%のベントナイト基本泥水のλの測定値の平均値は,0.537W/(m・K)であり,再現性は±1.7%であった。今後の課題は,この測定精度を維持しつつ,測定操作を簡易化し,現場の技術者でも測定できるようにすることである。
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