研究概要 |
多岐にわたる天然セラミック原料の中,(1)カオリン鉱物,(2)繊維状粘土鉱物(セピオライト,パリゴルスカイト),(3)ゼオライトを対象とし新しい研究手法により,これらの加熱変化機構を検討した。 (1)カオリン鉱物:とくにデイッカイトの加熱脱水反応を速度論的に解析し,脱水機構を明らかにするための基礎デ-タとした。この反応は複合反応であるためまずこの解析を行うためのコンピュ-タシステム(CAKAS)を開発した。これにより結晶度の異なる4種のデイッカイト試料の脱水反応をTGデ-タを用いて解析した。この結果,この反応は低温側脱水反応(296ー630℃,E=126〜164kJ・mol^<ー1>,拡散反応)と高温側反応(526ー780℃,E=260kJ・mol^<ー1>,1次あるいは界面律則反応)に分けられた。なお低温側および高温側の脱水量比から低温側脱水反応では結晶度と負の相関が,高温側では正の相関があることが分かった。 (2)セピオライト,パリゴルスカイト:前者についてはとくに結合水の2段階脱水機構を種々の手法を用いて検討し,この結果,1段目の脱水はNgイオンからの水分子の分離速度に,2段目のそれはfoldingした空洞中を拡散する水分子の速度にコントロ-ルされることを確認した。パリゴルスカイトについてはその脱水過程は本質的に3段階であることを確認した。 (3)ゼオライト:ナトロライトおよびこれをKイオンで置換処理したKー型試料について脱水機構を検討した。速度論的解析から前者の反応は0次反応,後者は一次反応で律則されていることが分かったがこれをそれぞれの鉱物の含水相,脱水相の結晶構造の変化と対比して脱水機構を考察した。ロ-モンタイトについては相対温度を制御した条件下で含有水分子量を正確に測定し,単位脆中の水分子数が12(相対温度0%),14(50%),16ー18(100%)の3相が存在あることを確認した。
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