研究概要 |
本研究は、複合材料や接合体の製造,半導体のハンダ付け,新素材のろう付け等を行う際に,重要な材料学的因子である,異種材料間の固液界面の濡れ挙動,特に流動する液体を想定した動的濡れ挙動を実験的・理論的に明らかにし,得られた結果を材料設計の分野に役立てることを目的として行われた。また近未来に行われる宇宙環境下すなわち微小重力・高真空状態における材料作製時の固液界面の濡れ挙動,特に微小重力の影響を調べた。研究は,まず従来から行われてきた地上での濡れ挙動評価法の調査を行い,本研究目的に適合した幾つかの方法を選択・実行した。個々の結果の精度・再現性,相互の相関性及び宇宙実験としての妥当性の検討を行った後,航空機を用いた微小重力下での実験結果と地上実験とを比較して重力の影響を考察した。また次の段階で行う溶融金属と固体材料(金属、セラミックス等)との濡れ性評価技術の開発の予備試験として,メニスコグラフ法による低融点金属の濡れ性評価に及ぼす材料学的因子及び実験環境の影響についても調査検討を行った。 本研究で行った実験方法は,地上実験では押出液滴法,リキッド・ブリッジ法,メニスコグラフ法,傾斜平板法,微小重力環境下においては,押出液滴法,リキッド・ブリッジ法で行った。供試材は,液体として精製水,グリセリン,ヒマシ油,シリコンオイル,及び低融点金属(Uメタル),固体として,ガラス,アクリル,テフロン,金属(Ni等)及びセラミックス(Si3N4等)を用いた。この結果静的濡れ挙動は,地上では実験条件を正確に合わせることにより、評価法によらずほぼ一定であること。動的挙動は履歴により変化し、評価法の実験条件により異なること.重力により濡れ挙動すなわち接触角が変化することなどが明らかになった。
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