研究概要 |
特にPtとPdに関して水素還元機構の速度論的解明と高付加価値の微粉末製造の基礎となる研究を行った。 I.白金:塩化白金酸水溶液(通常0.05mol/l)をステンレス製オ-トクレ-ブで加圧水素還元した。 1)反応曲線はほぼ直線となり、反応速度はPd濃度に依存しなかった。2)反応速度の水素分圧依存性は1次であり、活性化エネルギ-は3.1Kcal/molであった。3)反応律速は水素と溶液または白金固体と溶液の界面の液境膜内の溶解水素の拡散であった。4)低温度,低水素分圧,低還元率,溶液の高撹拌等の条件下で、導電ペ-スト素材として評価の高い、表面の滑らかな約1μmの球状粒子が得られた。5)反応速度はpHを高めると上昇するが、13位では初期に長い誘導期を示して急激に低下した。6)この現象は溶液の加熱処理によりPtイオンにOH^ーが強く配位して解消し得た。 II.パラジウム:塩化パラジウム酸水溶液(通常0.05mol/l)をガラス製反応装置で常圧水素還元をした。 1)溶液が不安定でデ-タは非常にばらついたが、加熱処理により再現性が得られた。2)反応のPd濃度依存性は、反応前半で0次、後半で1次であり、それ等の反応速度定数から前半部で約3.3、後半部で4.2Kcal/molの活性化エネルギ-が算出された。3)反応前半の反応速度は水素分圧に1次依存し、律速は溶解水素のPd表面の液境膜内拡散、反応後半はPdイオンの同上拡散と考えられ、その転換はPd濃度に依存し、40℃で約0.01molPd/lであった。4)Pd粉末は細い(0.3〜0.5μm)不定形粒子であり、かなり凝集していた。5)低還元率の粉末はX線回析線がブロ-ドニングし、構成粒子は約0.06μmと算出されたが、高還元率の粉末は二次粒子凝結の結晶化によりブロ-ドニングは消失した。
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