研究概要 |
静電的擬液膜法(Electrostatic Pseudo Liquid Membrane)による希薄水溶液からの金属の回収を目的とし、塩化ビニル及びテフロンで表面を絶縁被覆した金属板電極及び金属網電極で抽出室及び逆抽出室に分けられた矩形反応容器を用いて1000ppmのNiイオンを含む0.1mol・dm^<-3>CH_3COONa水溶液からのNiの回収実験を行なった。使用した有機相は10V%D2EHPA(抽出剤)、と0.5wt% Span80(界面活性剤)を含むケロシン溶液であり、逆抽出液には1.0mol・dm^<-3>HCl水溶液を使用した。実験はすべて室温で行なった。 1.上記水溶液を直径約2.8mmの水滴として、高さ10cmの有機相中を落下させると0.7秒で通過するが、電極間に4kVの電圧を印加すると、水滴は微小水滴に分散し、この有機相を通過するのに10数秒を要する。水滴の分散は印加電圧の大きいほど良好であるが、水相のpHにも依存し、pHが低いほど悪い。さらに、有機相中に抽出されたNi(II)濃度が高くなるほど水滴の分散性は低下する。 2.高さ10cmの有機相にNiを含む水溶液を1cm^3・min^<-1>の速度で滴下し抽出のみの実験を行なった結果、印加電圧2,3,4kVのいずれの場合も同じ抽出速度を示し、Niイオンの有機相への抽出特性は良好であった。一方、同じ高さのNiを3.5g・dm^<-3>含む有機相へ、1.0mol/dm^<-3>Hcl水溶液を1cm^3min^<-1>の速度で滴下し、逆抽出のみの実験を行なった。Niの逆抽出速度は印加電圧に依存し、2、3、4、kVと印加電圧が大きいほど増大した。 3.上記有機相を満した反応容器の抽出室へ1000ppmのNiを含む水溶液を1cm^3・min^<-1>の速度で滴下すると同時に、網電極で隔てられた逆抽出室へ、1mol・dm^<-3>Hcl水溶液を0.3cm^3・min^<-1>の速度で滴下し、印加電圧4dVでNiの濃縮・回収実験を行なった。抽出室から排出される水相中のNi濃度は常に100ppm以下であり、逆抽出室から回収される水相中のNi濃度は常に100ppm以下であり、逆抽出室から回収される水相中のNi濃度は約3000ppmであった。これはESPLIMが金属の回収に横行な事を示している。
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