研究概要 |
1.合金探索 強度の異常性を索るために,IVaーVIII B2型金属間化合物であるFeTi,CoZr,CoHf,CoTi,NiTiについて系統的調査を行った。CoTi,CoZr,CoHf,NiTiでは強度の異常温度依存性が認められたが,FeTiでは認められなかった。また,FeTiーCoTiーNiTiの擬二元化合物についての組成依存性について調査したところ,強度の異常性と延性化はCoTi側とNiTi側で著しい事がわかり,電子・原子比との何らかの相関性が示唆された。 2.変形の巨視的ならびに微視的様相 CoTi単結晶を用いて圧縮変形ならびに電子顕微鏡観察を行った。変形は全温度領域で(011)すべりにより生じ,変形応力は低温ならびに中温領域で各々強い負の温度依存性と正の温度依存性を,そして著しい方位依存性を示した。また,電顕観察により広い温度領域で〈001〉転位が活動していることを認めた。弱ビ-ム法によりこの転位は部分転位に分解していることを認めた。弱いビ-ム法によりこの転位は部分転位に分解していないことを明らかにした。 3.機構の解明 IVaーVIII B2型金属間化合物の強度の異常性は〈001〉転位が何等かの部分転位に分解しているとするよりも,単一転位の転位芯構造に由来するものと提案される。この場合,強度の異常性は温度と応力の手助けによる熱活性化によるglissile構造からsessile構造への変態によると推察され,そのしやすさはB2相の相安定性により知る事が可能である。 4.B2型金属間化合物のすべり変形様式を支配する因子の検討 多くのB2型金属間化合物のすべり様式についてエネルギ-論ならびに機構論的検討を行った。これら化合物では弾性異方性が大きく,これらの特異な組成依存性と温度依存性に深く関与している事を明らかにした。また,APBエネルギ-の大小も重要なパラメ-タである事を示した。
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