研究概要 |
本研究は、誘導結合高周波プラズマ(ICP)およびマイクロ波誘導プラズマ(MIP)のプラズマを励起光源に用いる発光分光分析の高感度化と高精度化を目指したものであって,本研究(2年間)で得られた成果は下記の通りである。 1.現有するICP発光分光分析装置に改造を加え,170〜190mmの波長範囲の真空紫外域での分光分光を可能にした。この改造されたシステムを用いてホウ素182.64,208.86nm線および硫黄180.73,182.04,182.62nm線を用いるホウ素および硫黄のICP発光分光分析法を確立した。その結果を利用して鉄鋼中のホウ素および硫黄の定量を行った。 2.MIP発光分光分析装置を試作するために,現有するモノクロメ-タ-,光電子増倍管用高圧電源,直流増幅器,シグナル積分器,記録計などを連結した新しいMIP発光分析システムを完成した。またマイクロ波共鳴キャビティ-として現有するBeenakkerタイプのほかに、表面波を利用する“surfatron"キャビティ-を設計,試作した。さらにMIP発光分光分析装置を改良して170〜190nmの真空紫外波長域での分光測光ができるように窒素パ-ジ光学素を完成した。 3.ヨウ素のMIP発光分光分析において,当初水銀の還元気化反応に対するヨウ化物イオンのボ干渉を利用して水銀の発光強度の測定からヨウ素の間接定量法の確立した。その後,ヨウ化物イオンを酸化して揮発性のヨウ素に変換してMIPに導入し,183.04,206.16nm線を用いて検出限界0.74ng/mlの高感度を得た。本法でかん水や海水の分析を行った。 4.MIP中に気相試料導入する方法を発揮させ,臭化物イオンを酸化して臭素蒸気に変換したり,さらに硫化物イオンを硫化水素に,亜硫酸イオンを二酸化硫黄に変換してMIPに導入する新しい高感度な臭素および硫黄の大気圧ヘリウムMIP発光分光分析法を開発した。
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