研究概要 |
尿素を用いる均一沈殿法によりアルミニウムとマグネシウムの硝酸塩あるいは硫酸塩の水溶液からスピネル粉体の合成を行い,その焼結性ついて検討した。硝酸塩混合水溶液から合成した粉体はゲル状のアルミナ水和物と結晶性の複水酸化物の混合物で,硝酸塩混合溶液からは球状アルミナ水和物上にマグネシア水和物が成長したものが得られた。これらの生成物の形状の違いは先に析出するアルミナ水和物の形状が異なるためである。両粉体とも空気中1000^0Cの熱処理でX線的にマグネシウム,アルミナの結晶相は認められずスピネル単一相になり,アルミナとマグネシアの両成分の混合状態が良く反応性の高い粉体であった。600〜1200^0C仮焼粉体について焼結を行ったが,800〜1000^0C仮焼粉体は比表面積20〜70m^2・g^<ー1>の焼結活性な粉体であった。 硝酸塩混合水溶液から合成した粉体は乾燥で固い塊状物になったため,メノウ乳鉢で粉砕して800^0Cで1時間仮焼した試料を成形して1500^0Cで4時間焼結したところ相対密度95%の焼結体が得られた。焼結温度を1600^0Cに上げてもそれ以上密度は高くならなかった。一方,硫酸塩混合水溶液から得られた乾燥粉体をそのまま1000^0Cで仮焼した粉体から1500^0C4時間の焼結で相対密度96.7%の焼結体が得られた。この粉体を粉砕して温度を上げて焼結を行ったところさらに密度は大きくなり,800^0C仮焼粉体を成形して1600^0Cで4時間焼結した結果相対密度99.2%の焼結体が得られた。600〜1000^0C仮焼粉体には硫酸根が残留しており,焼結の昇温時における硫酸根の分解によって粒子が微細化し焼結を促進したと考えられる。 また,スピネルの合成における基礎実験として,均一沈殿法によるアルミナ水和物の析出における水溶液中の陰イオン(特に硫酸イオン)の影響を調べた。
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