研究概要 |
1.液体状態の金属ガリウム(融点29.78℃)を、よく精製したヂメヂルスルホキシド(DMSO),N,N-ジメチルホルムアミド(DMFA)、N-メチルホルムアミド(NMFA),ホルムアミド(FA)、メタノ-ル(MT)、ペンタデカン(PD)、ジイソプロピルエ-テル(DIPE)、ミクロヘキサン(CX)、ベンゼン(BZ)中で、一定の条件で混合撹拌し、微粒化が生じたDMSO,DMF,NMF,FA,MT,の場合について、生成微粒子の粒径分布を沈降法により径時的に測定した。粒径分布は複雑な様相を呈したが,媒体の動粘性係数が大きい方が微粒化が進み易い傾向が認められた。ただし、非極性溶媒中では微粒化が全く起こらず、ガリウム-媒体間の界面物性が重要であることが示唆された。 2.生成した微粒子のXPS,およびX線回折結果から、微粒子の表面はほぼ酸化ガリウムで覆われているが、内部な室温においても液体状態を保っていることが明らかとなった。DMSO中でのガリウム微粒化過程で微量ながら硫黄化合物の生成が検出されたことから、表面酸化のための酸素は媒体に由来しているものと考えられた。 3.DMSOを溶媒とし、ガリウム微粒子を触媒とするα-D-グルコ-スの変施光反応に対する動力学的検討から、グルコ-スの濃度領域によりその触媒への吸着状態が大きく変化していることを示唆する結果を得た。 4.ペンドントドロップ法による溶媒-液体ガリウム界面張力測定から、界面エネルギ-の媒体による変化を評価した。DMSOにα-D-グルコ-スを加えた場合には、界面張力に他の系に比べて約1桁大きな変化が観測され、グルコ-ス-ガリウム間に化学的相互作用が認められた。 以上から、液体ガリウムの微粒化には、媒体の動粘性係数、極性等の物理的因子の他、媒体が新生ガリウム表面と強く相互作用し得ることが重要であることが判った。
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