研究概要 |
1.キレ-ト樹脂への金属クラスタ-の固定化 イミノニ酢酸基を有する架橋ポリスチレンであるキレ-ト樹脂をAl(III)錯体とした後,ヘキサクロロ白金(IV)イオンを固定化,さらに水素化ホウ素リチウム還元により白金クラスタ-とした。還元後イオン交換によりNa(I)およびMg(II)置換体を得た。パラジウムクラスタ-の担持はキレ-ト樹脂のNa(I),Mg(II)およびAl(III)錯体を塩化パラジウムの塩酸水溶液と処理後,水素化ホウ素リチウムで還元して行った。 2.キレ-ト樹脂錯体担持金属クラスタ-のキャラクタリゼ-ション エタノ-ル洗浄乾燥したキレ-ト樹脂錯体の表面積は,金属クラスタ-担持前後共に,固定化金属の価数の増加とともに増大した。クラスタ-担持前のAl(III)錯体には,細孔径分布測定により40Aの細孔が多いことがわかった。固定化白金クラスタ-の平均粒径は26Aであり,白金クラスタ-が細孔を占めている。また,パラジウムクラスタ-の場合,金属イオンの種類によりパラジウムクラスタ-の分布状態に差違が見られた。 3.キレ-ト樹脂錯体担持金属クラスタ-の触媒作用 1項で合成した白金クラスタ-触媒を用いて,エタノ-ル中30℃1気圧水素下で1,3ーシクロオクタジエンなどのオレフィンの水素化を行ったところ,触媒活性は表面積の増加にともない増加した。また溶媒を無極性溶媒であるシクロヘキサンに変えても固定化金属イオンによりNa^+<Mg^<2+><Al^<3+>の順に活性の向上をはかれる。すなわち,本系では樹脂の高表面積化が触媒活性に直接反映している一方、パラジウムクラスタ-触媒でも同様の傾向が見られたが,さらに,クラスタ-粒子の樹脂中での分布状態が触媒活性に大きく影響していることが明らかとなった。また錯体樹脂担体と基質との相互作用による反応の基質選択性が観察され た。
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