研究課題/領域番号 |
01550637
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (50133096)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 修飾シクロデキストリン / リボ核酸開裂 / 分子認識 / アミン・亜鉛(II)錯体 / 分子内触媒作用 |
研究概要 |
近年のバイオテクノロジ-の進展に伴い、RNAやDNAなどの核酸を選択的に開裂する人工材料の開発に対する社会的要請が強まっている。すでに、我々は、環状のオリゴ糖であるシクロデキストリンが、RNAの加水分解に対して著しい位置特異的触媒作用を示すことを明らかにした。本研究では、この知見をさらに発展させ、シクロデキストリンに化学修飾を加えることにより触媒能を一層増進することを目標とした。 シクロデキストリンの一級水酸基の一つを、キレ-ト配位子であるジエチレントリアミンで置換した修飾シクロデキストリンを合成した。ここでは、シクロデキストリンにまずトシル基を選択的に導入した後、ジエチレントリアミンと反応させて目的物を得た。この修飾シクロデキストリンと亜鉛(II)イオンとの錯体が、リボヌクレオチド2量体ならびにリボヌクレオシド2'、3'-環状リン酸の開裂に対して著しい触媒効果を有することを見出した。触媒作用に際しては、まず基質の核酸塩基が修飾シクロデキストリンの空洞に包接されることにより複合体が生成し、しかる後にジエチレントリアミン-亜鉛(II)錯体が複合体内触媒として効率的に機能する。そのために、触媒効果は、空洞に包接されやすいプリン環を持つアデノシン、グアノシンの場合に特に顕著であった。さらに、修飾シクロデキストリンは、リボヌクレオチド2量体のシ-クエンスの差異(例えばアデニリル-シトシンとシチジニリル-アデノシン)を分子認識して、相互に異なる反応速度で開裂した。 修飾シクロデキストリンによる加速効果は、中性付近で特に顕著であり、pH7で数千倍に達した。このように、シクロデキストリンに新たな官能基を導入し、基質結合能と触媒能を併せ持つ人工材料を開発することにより、RNAの分子構造を認識して選択的に開裂することに成功した。
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