研究課題/領域番号 |
01550639
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山瀬 利博 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (80016576)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | ポリ酸イオン / 抗腫瘍作用 / DNAの酵素反応 / 制限酵素反応 |
研究概要 |
我々はポリモリブデン酸イオンの抗腫瘍活性を見い出して以来、その抗腫瘍活性のメカニズムを検討するため、DNAとポリモリブデン酸イオンとの相互作用を調べた。ポリモリブデン酸イオンとしては人乳癌や人結腸癌に対し強い増殖抑制作用を示した。[NH_3P_r^i]_6[Mo_7O_<24>]・3H_2O(PM8)を用いた。DNAとしてプラスミドpBR3ZZDNAを用いて、DraI、Sau3AI、HaeIII等の制限酵素による酵素反応を行いpBR3ZZDNAの消化反応に対するPM8の効果を電気泳動法によって測定した。いづれの酵素反応に対してもPM8は阻害作用を示したことからPM8はDNAと非特異的に相互作用していることが予想され、HaeIIIに対し特にその阻害効果が大きいことよりDNAのGあるいはCとの相互作用が比較的大きいものと推定された。このPM8とDNAとの相互作用の存在は、E.Cali RNAポリメラ-スとDNAとの相互作用をPM8が妨げる事実、およびBal31-酵素反応に対する阻害作用からも支持された。 PM8はS1-酵素反応に対しほとんど影響を与えなかった。これは平面構造をもつシスプラチンがS1酵素反応を著しく促進する事実と対称的である。以上の実験結果から、PM8とDNAとの相互作用はシスプラチンの場合のようなGのN7原子との共有結合によるDNA内部へのintercalationによる特異的結合ではなく、DNAの表面での非特異的相互作用に依ることが結論された。このDNAとの弱い相互作用はシスプラチンに比べて細胞毒性が非常に小さい原因の一つであると推定された。
|