研究概要 |
メタン酸化カップリングによるC_2-炭化水素の合成の可能性をKellerらが1982年に提唱してから、現在までこの反応に有効な触媒が多く報告されてきた。その主なものは、リチウムなどアルカリ金属が添加された酸化物、アルカリ土類酸化物や希土類酸化物などであり、これら酸化物の塩基的な性格が極めて弱い酸的性格を持つメタンからの脱水素反応に寄与してメタン酸化カップリングを機能させると考えられる。本研究では、メタン酸化カップリング反応に有効な複合酸化物触媒を開発する目的でアルカリ、アルカリ土類、希土類金属を服務ABO_2からなる食塩型およびABO_3からなるペロブスカイト型構造を持つ複合酸化物を調製し、メタン酸化カップリング機能について検討した。 食塩型構造をもつABO_2複合酸化物としてはA^+イオンとしてLi,Na,Kを選び、B^<3+>イオンとしてFe,Ni,Co,Mn,Inを選んだ。また、ペロブスカイト型構造を持つABO_3複合酸化物としてはA^<2+>イオンとしてCa,Sr,BaまたはNaとLaのイオン混合系を選び、B^<4+>イオンとしてTi,ZrまたはHFを選んだ。これらの複合酸化物はいずれもメタン酸化カップリングに対して極めて優れた触媒になる事を見いだした。特に、これら複合酸化物に不純物を添加して酸素欠陥を構成させたとき触媒活性が向上する事がわかった。 我々は、メタン酸化カップリングに対して極めて高い活性を持つ優れた触媒を見いだしたので、得られたC_2-炭化水素であるエチレン、エタンをZSM-5によりオリゴメリゼ-ションを行わせ、ガソリンを得るプロセスまで発展させるべく検討中である。
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