研究概要 |
本年度は装置整備については,高電圧(3.5kV)まで耐えられる,静電場中のゲル化用装置を設計し製作した(極間距離5mm). ゲル化過程については,SAXS散乱強度と構造に依存すると考えられる性質,曳糸性,を対応させることにより,調べた.それは,曳糸性を示すような構造が電場に対して敏感に反応すると考えたからでもある.試料は二成分系がより敏感に電場に対して反応すると考え,前年のシリカに引続き,チタニアおよびシリカーチタニア二成分系について測定を行った.チタニア系ゾルの調整は,溶媒としてモレキュラ-・シ-ブスで水を抜いた後還流したアルコ-ルを用い,また乾燥チッソ雰囲気で行なって,加水分解におよぼす水の影響を制御することに努めた.Water/Ti比0.5から10までチタニア・ゾルのSAXS測定をおこなった.それによれば測定したフラクタル次元数はWater/Ti比に大きく依存し,比が2のとき最小値を示す,またその時ゲル化反応が非常に速く進行する.比が4以上ではフラクタル構造を示さない.それぞれ,シリカおよびチタニアの一成分系について電場3kVの下でゲル化させたが,そのゲル化時間およびSAXSへの影響は認められず,一成分系については電場の影響は特定できなかった. シリカ・チタニア二成分系について,超音波拡散器やスタ-ラ-により両アルコキシドを混合したり,シリコンエトキシドが加水分解された後チタニアゾルを加えるなどの方法で合成を試みた.しかし二成分ゾルの赤外スペクトル測定ではSiーOーTiに対応する930cm^<ー1>付近にショルダ-が見られたが,現段階では原子レベルでの混合は明瞭には確認できなかった.SAXSによればチタニアゾルでは水の対原料比が4のときフラクタル構造は観測できなかったが,シリカ・チタニア二成分ゾルになるとフラクタル構造が観測された.
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