研究概要 |
化学選択的ポリアミド合成を行うために、まず活性化剤としてジフェニル(2,3ージヒドロー2ーチオキソー3ーベンゾオキサゾリル)ホスフォナ-トを用いて以下のモデル反応について検討を行った. (i)生成した活性アシル中間体による水酸基とアミノ基の識別能について,活性化剤の存在下,5ーヒドロキシイソフタル酸とアニリンの反応について検討したところ,N,N'ージフェニルー5ーイソフタルアミドが得られ,選択的にNーアシル化できることが分った.(ii)生成した活性アシル中間体によるアミノ基のpKa差の識別能を検討するために,活性化剤の存在下種々のアニリン誘導体と安息香酸の反応について検討し,アミノリシスの2次反応速度定数kを決定した.その結果pKa値の差が2あれば反応速度が100倍ほど異なり,識別可能であることが判明した.(iii)有機塩基によるカルボン酸のpKa値の差の識別能を検討するため ,2種のpKa値の異なる安息香酸誘導体とアニリンとの競争反応を行い,有機塩基でカルボン酸のpKa値の差をどこまで区別できるか検討を行った. その結果弱塩基を用いることによりpKa値の差が1位のカルボン酸の識別が95%程度できることが分った. これらの結果を基に,直接重縮合法により化学選択的ポリアミド合成を行った.(IV)5ーヒドロキシイソフタル酸と各種芳香族ジアミンから重合による,水酸基,アミノ基間の識別を行い,側鎖に水酸基を有するポラアミドを合成できた.(V)5ーアミノイソフタル酸と各種ジアミンからの重縮合により,pKa値の異なるアミノ基間の識別を行い,側鎖にアミノ基を含むポリアミドを得た.(VI)各種ジカルボン酸と3,5ージアミノ安息香酸の重縮合によリ,カルボキシル基間の識別を行い,側鎖にカルボキソル基を含むポリアミドを得た.以上のように,適当な反応性を相与された活性化剤を用いる直接重縮合により,化学選択的ポリアミド合成に成功 した.
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