研究概要 |
複数個の装置が互いに関連をもちながら,それらが逐次的,同期的,並行的に操業されるバッチプロセスは代表的な離散事象系の1つである.バッチプロセスの運用計画問題の解決を合理的に進めるためには,これらの問題の検討に適用可能な離散事象系モデルの開発と,それに基づいた解析手法・シミュレ-ション手法の開発が不可欠である. 本研究においては,最初に離散事象系の運用計画問題について考察を行った.その結果,この問題は,(1)システムの各所に存在する非決定性を明らかにすること,(2)非決定性の解消が受ける制約を明らかにすること,(3)非決定性を解消した状況のもとでシステムを評価し適当な解消法を1つ選択すること,に帰着できるとの知見を得た.次に,これらの問題を一貫して考察することができる1つの離散事象系モデルを考案し,その解析手法を示した.このモデルはペトリネットとオブジェクト指向の考え方を融合したものであり,その開発にあたっては,モデルが対象システムの挙動をそのままの形で表現できること,およびモデルの制御構造がある程度解析できることに重点を置いた.最後に,このモデルに時間の概念を導入したモデルを考案し,そのもとで動作するシミュレ-タを核とする離散事象系運用計画検討システムを開発した.その際,シミュレ-ション過程を任意の時点まで後戻りさせ,そこから代替の運用方策のもとでシミュレ-ションが再もとでシミュレ-ションが再開できる機能をシステム付加した. 考案したモデルを実システムに応用するためには,モデル化の容易さ,表現能力の豊かさ,モデルとしての一般性・汎用性などに関するいくつかの問題点が残されている.これらの解決が今後の課題であると思われる.
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