研究概要 |
昨年度の設備備品費で購入した遊星ミル粉砕機を用い、本来親水性である石英砂をセチルアルコ-ルのヘキサン溶液中で湿式粉砕することによるメカノケミカル反応を利用して,粉砕産物の表面を疎水化する実験を行った。比較のためボ-ルミル粉砕も行った。粉砕後粉砕産物表面に付着したセチルアルコ-ルを洗い流すため,ヘキサンで1回,アセトンで2回,粉砕産物を洗浄した後,粉砕前と粉砕後の粉砕産物を蒸留水へ投入し,水分に散する粉体の質量分率を測定した。また,レ-ザ-ラマン分光光度計ならびにフ-リエ変換赤外分光光度計を用いて,粉砕産物の表面物性を測定した。 その結果,遊星ミル粉砕機で回転数730rpmでは5分間,540rpmでも40分間粉砕すれば,メカノケミカル反応で表面が疎水化し,粉砕産物が水に分散せず,水面に浮くようになった。反応が進み,石英粒子の表面にアルキル基が結合して疎水性になるに従い,赤外吸収スペクトルではアルキル基のCH_2の伸縮振動に起因する2940cm^<ー1>と2850cm^<ー1>の弱い吸収ピ-クが表れた。一方,ラマンスペクトルでは石英のSiーO_2の逆対称伸縮振動に起因する467cm^<ー1>,212cm^<ー1>,130cm^<ー1>のラマンスペクトルピ-クの高さが,粒子表面がアルキル基で覆われるにしたがって減少し,遊星ミル粉砕機回転数730rpmで40分間粉砕反応した試料では467cm^<ー1>の小さなピ-クが残るのみとなった。また,回転数540rpmで40分間粉砕した試料でもピ-クの大幅な減少が見られた。 以上の結果より,メカノケミカル反応を利用した石英砂の表面疎水化はレ-ザ-ラマンスペクトルならびに赤外吸収スペクトルで測定が可能であることが分かった。
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