研究概要 |
1. 理論 (1) 半無限長で,硬く,厚みのある真直ぐな,軸方向に気流が流れている円形音響ダクトをウィンナ-・ホッフ法で応用解析した。他の吸音ダクトと断面の変化するダクトについては真直ぐなダクトの開口部のウインナ-・ホッフ法の取吸いを踏襲すればよいことが分かった。(2)気流ダクトの開口の反射係数や放射指向係数などの理論値を得るためには気流ダクトのスプリット関数の値を求める必要がある。まず気流なしのスプリット関数値を大型計算機IBM3081ーK32を使って計算値を出力した。その松井のスプリット関数値にG.W.Johnstoneら(J.A.S.A.1980)の気流ダクトの関係式を用いればよいことが確認された。別にR.M.Munt(J.Fluid.Mech 1977)のスプリット関数も検討した。 (3) 気流のある場合の吸音ダクトの固有方程式を提示し,特に気流がない場合の固有値方程式の解法と計算結果を与えた。また吸音材のアドミタンスと音の減衰の関係をコンタ-で描いた。 (4) 奥田の理論解析とJeongーGuon lhら(J.A.S.A,1985)による膨張型空洞の理論解析を応用して、気流があり異軸をなす膨張型消音器の厳密な消音効果の計算が可能になった。(5) 村上(日機論集,昭57)の気流なしの場合の解析を応用して、複数個のホ-ンを有する気流ダクトについて,流速Mを変えた透過損失,挿入損失の計算が可能になった。 2. 実験 (1)ト-ンバ-スト信号、インパルス信号による気流ダクトの測定法が明白になり,更にM系列信号測定システムを構築した。(2)各種の気流ダクトについて,J.Y.Chungらのペアマイクロホンを用いたダクトの消音効果の測定法を応用できることが確証された。(3)熱線流速計システムで気流ダクト中の音と気流を精密測定する可能性が得られた。
|