研究概要 |
メロンの側枝の果実着生節の葉、及びキュウリの主茎上の着果節の葉に^<14>CでラベルされたCO_2を施与して光合成させ、2,4,8時間後に葉で生産された光合成産物の果実への分配率を調査したところ、^<14>CO_2施与後の時間経過とともに高くなった。転流経路に添って部位を分けて採取し、各部位への^<14C>の分配を調査した結果、光合成産物は、維管束走向に従って、果托から外果皮、中果皮、内果皮を経由して隔壁、胎座、種子へと転流し、その途中で果托柔組織や果汁へも移行するものと考えられた。また、果実の成熟初期(受粉後35日目)と収穫適期(受粉後55日目)の果実を着生している植物体について比較したところ、施与後の経過時間にかかわらず、^<14>CO_2施与葉からの転流率は受粉後35日目の果実を着生する株で高く、果実への分配率は55日目の果実を着生する株で高かった。次に、上記の各部位に含まれる糖を同定し、^<14>CO_2施与後の時間経過を追ってそれぞれの糖区分に分配された^<14>Cを分離定量した結果から、ウリ類の一次転流物質であるラフィノ-スを含む少糖類が転流中及び周辺組織へ移行中に分解されて、一,二糖類に変わるもとと考えられた。また、メロンの発酵果における炭水化物代謝についての基礎資料を得ることを目的として、発酵しやすい'夏系16号'と比較的発酵しにくい'東海H-60号'の2品種について調査したが、品種間の差異は認められなかった。 セイヨウナシ'ラ・フランス'の切枝を用いて、果実に近い葉15-20枚に^<14>CO_2を施与して光合成させ、24時間後に果肉の可溶性区分と不溶性区分への^<14>Cの分配率を測定した結果、果肉でテンプン合成が行われるのは満開後約120日までであると考えられ、この時期のデンプン蓄積量が収穫適期の予測の資料となることが期待される。ブドウの結果枝では果実は主として同列の葉から光合成産物を取り込むことが明かになった。
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