研究概要 |
1.予備冷蔵の有無と生育初期温度並びに栽培温度が促成ボタンの生育と切り花形質に及ぼす影響について調査した。予備冷蔵処理によって発芽期や開花期が促進された。しかし予備冷蔵処理区で生育初期温度が高い場合,開花率は著しく低下した。初期温度が低い場合には,予備冷蔵処理区も対照区と同様に開花率は高かった。中期促成において,発芽から開花までの平均温度が約17℃の時,30日以内で開花した。平均温度が4℃下がれば15日間の開花遅延が生ずるものの,切り花形質は著しく向上した。1棟のハウスで,早期促成栽培から半促成栽培まで4作の作付けが可能であることが示唆された。 2.予備冷蔵の有無がボタン品種の花芽の発育と促成開花に及ぼす影響について調査した。予備冷蔵処理によって花芽の発育が進み,花弁数は増加した。予備冷蔵終了時に,一部の品種で雄ずい分化や雌ずい分化中の個体が認められた。また花弁と雄ずいとの間に未分化部位が認められ,花弁と雄ずい分化を同時に進行させる時期の存在が考えられる。実用限界(開花率80%)を越えた各品種の草姿は,予備冷蔵処理がなくても茎葉の伸長は良好で,切り花の草姿に問題はなかった。 3.予備冷蔵温度がボタン品種の花芽の発育と促成開発に及ぼす影響について調査した。12℃や15℃の予備冷蔵温度によって,花芽の発育が良好となった。切り花の花弁数は予備冷蔵処理によって減少傾向が認められ,一部の品種では激減した。予備冷蔵処理によって開花率が向上する品種,低下する品種及びあまり変化しないか変化しても差が少ない品種の3品種群に分類されることが明らかとなった。また、予備冷蔵適温は品種によって異なることが示唆された。 花芽分化の早晩と促成能力の関係については一定の傾向を示さなかった。
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