研究課題/領域番号 |
01560094
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用生物化学・栄養化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北川 泰雄 名古屋大学, 農学部, 助教授 (50101168)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ラミニン / 基底膜 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / メドロキシプロジェステロン |
研究概要 |
ラミニンは基底膜に特異的に存在する糖蛋白質でA、B_1、B_2の三種類のサブユニットが十字架状に束ねられた構造をしている。ラミニンは上皮細胞の接着、伸展、増殖、遊走や分化に作用する器官形成の重要因子であり、そのための機能領域を分子構造にちりばめている。我々は3T3-L1繊維芽細胞がサブユニット会合様式ではAと同じ挙動を取るがAよりも小さいA'を発現し、A'B_1B_2という異型ラミニンを発現していることを示した。今回、大動脈と肺動脈から単離した内皮細胞(BAECとCPAE)がAと共にA'も合成し、AB_1B_2とA'B_1B_2を同時に分泌していることを見つけ、これらの相対的量比が血管新生抑制剤で変化することを観察した。これらの成果はラミニン複合体の構造と機能の多様性を血管の修復・新生機構との関連から明らかにしたものである。その要点をまとめると次のようである。BAECとCPAEを放射性アミノ酸で標識し、得られた培地と細胞溶解液を抗ラミニン抗体で免疫沈降して電気泳動に供したところ、培地はA、B_1、B_2に加えてA'を与えた。細胞溶解液は各々のサブユニットごとに糖鎖修飾段階が異なる2種類、合計8本のバンドを与えた。これらの細胞内会合様式を解析したところ、まずB_1B_2複合体が形成された後にAが会合してAB_1B_2複合体が、A'が会合してA'B_1B_1が形成されることが判明した。各々のサブユニットは会合後に一括して細胞内輸送されて糖鎖修飾を受けることも判明した。BAECの通常の培養条件ではA'B_1B_2が主要産物であったが、血管新生抑制効果が知られているメドロキシプロジェステロンを培地に添加するとAの合成が促進されA'の合成が抑制される結果、主要産物はAB_1B_2に転換した。CPAEの主要産物はA'B_1B_2であり、これはメドロキシプロジェステロン添加で変動しなかった。これらの結果は、大動脈を形成しているラミニンはAB_1B_2型であり、血管新生や小動脈形成にはA'B_1B_2型のラミニンが動員されることを示唆した。
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