研究概要 |
本研究代表者はペプチドグリカンに共有結合したポリアミンの生理作用について研究を行ない、本年度内に次のことを明らかにした。 〔1〕.グラム蔭性偏性嫌気性菌におけるペプチドグリカンな共有結合したポリアミンの存在を系統的に検討した結果,乳酸資化の嫌気性菌にその存在を明らかにした。それらの菌は次の6種である。(1)Selenomonas raminantium (2)S.sputigena,(3)Veillonello alcalescens,(4)V.parvula,(5)Anaerovibrio lypolytica,(6)Magsphaera elsdenii. これら上記の菌の表層構造の特徴はいずれも次の通りである。(1)外膜及び内膜にフオスファテジ-ルグリセロ-ルを欠く。(2)リポ蛋白質が欠損している。(3)モネンシンに高度耐性である。 〔2〕.Anaerovibrio lipolytieaにおいては、スペルミジンがペプドグリカンに共有結合していることを明らかにした。さらに結合アミノ基の位置を決定した結果、ペプチドグリカンのDーグルタミン酸のαーカンボキシル基に´Nーのアミノ基が共有結合していることを明らかにした。 〔3〕リピド中間体:ジアミン転移酵系の精製:本酵素は上記菌の細胞質膜に存在する酵素であるが、本酵素の性質及び本酵素に関与する遺伝子のクロ-ニングを進めるに当り、本酵素の分離精製を試みた。昨年度では本酵素の膜からの可溶化に成功した。本年度は、本酸素の基質になるリピド間体をミクロコッカスから分離抽出した。今後、本酵素を表面活性剤存在下で精製を行ない、諸性質を検討すると共に、構成アミノ酸配列を決定し、これからの人工DNAを合成して、これをプロ-ブとして、本酵素の遺伝子のクロ-ニングとする予定である。
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