研究概要 |
対象とする植物としてトマトを選び,その野生株(Lycopersicon peruvianum)を取りあげた。しかしながら植物成体そのものを取扱うことは繁雑で,長期間を要し,また栽培施設の管理などの問題を必ず解決せねばならない。 1.トマト培養細胞の形質転換系の確立 すでによく基礎的知見の得られている野性株トマト(L.Perurianum)のプロトプラストを酵素混液を用いて作成,エレクトロポレ-ション法で検討した。マ-カ-遺伝子としてカナマイシン耐性化遺伝子(npt II)を持つpUC18HS(最終濃度50μg/ml)を導入することから始めた。 環状のままのプラスミドをキャリア-DNA(最終濃度50μg/ml)とともに導入する。エレクトロポレ-ションはパルス巾を30μsに固定し,0〜2.5KV/cmの電界強度の短形波パルスを1回かける。プロトプラストをエレクトロポレ-ション用緩衝液に懸〓して,種々のパラメ-タを変化させて形質転換頻度の比較を行った。その結果,エレクトロポレ-ション用緩衝液としてカルシウム緩衝液を使用して熱ショック処理(45℃,5分)を与えた後,PEG溶液(18%PEG6000,6mM MgCl_2,0.1%MES,0.4Mマニト-ル,pH5.8)を8%となるよう混合した場合,1.5KV/cmの電界強度で供試プロトプラスト当り,最大4.5×10^<-4>の形質転換頻度が得られ,他の植物の系と比較しても高頻度で形質転換体を得ることが可能となった。 2.シクロヘキシミド耐性化遺伝子をマ-カ-とする形質転換 一般に真核細胞の分子遺伝学で用いる遺伝子マ-カ-は有効なものが少い。シクロヘキシミド耐性化遺伝子をマ-カ-としてトマト培養細胞系に用いる試みを進めた。今のところ遺伝子発現のレベルでの障害を取除くことはできていない。
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