研究概要 |
1、大腸菌染色体複製開始過程の温度感受性変異株PC2(dnaC2)の培養温度を変化させることにより、染色体複製に関して同調化した。複製開始直後の菌体を集め、フレンチプレス破砕,超遠心分画,塩化セシウム密度勾配遠心を経て、目的とする染色体複製開始領域(oriC領域)を含む複合体(oriC複合体)を必要量調製した。 2、1で得られたoriC複合体と、ほぼ一致する分画にグリコ-ゲンが見出され、また、分子量75Kd,55Kd,35Kdの蛋白が存在する。この中55Kd蛋白については、N末10残基のアミノ酸配列から、グリコ-ゲン・シンタ-ゼ(GS)と推定された。 3、2の推定の当否を検証するために、GS欠損(glgA^ー)とdnaCとの2重変異株を調製し、この株より1の方法に従ってoriC複合体を分離した。 4、3で得られたoriC複合体区分にはグリコ-ゲンおよび55Kdの蛋白が認められず、また、同時に75Kd,35Kdの蛋白も検出されなかった。この結果から、55Kdの蛋白がGSであることが証明され、また、75Kd、35Kdの蛋白もグリコ-ゲン合成関連のものであることが示唆された。 5、oriC複合体中に含まれる蛋白の解析を目的として、蛋白調製法を改変しSDSーポリアクリルアミド・ゲル電気泳動で検討したところ、新たに、分子量17Kdの蛋白がDNAと同じ位置に沈降することを見出した。
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