研究課題/領域番号 |
01560133
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
製造化学・食品
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐々 武史 山形大学, 農学部, 教授 (80023456)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | カキ円星落葉病菌 / (-)-マイコウスニン / (+)-イソマイコウスニン / (+)-オキシマイコウスニン / 新ウスニン酸誘導体 / 新植物毒素 |
研究概要 |
カキの主要病害の一つである円星落葉病は病原糸状菌 Mycosphaerella nawae によって引き起こされ、本病原菌が生産する植物毒素は、糸状菌から得られた最初のウスニン酸誘導体であり、これまでに報告された地衣成分とは明らかに異なる構造未知の物質であることを明らかにしてきた。本研究では、この植物毒素の化学構造の決定、未知関連化合物の分離と構造解析およびこれらのウスニン酸誘導体の生物活性の検討を行い、幾つかの新知見を含む次のような結果を得ることができた。 1.カキ円星落葉病原の寒天平板培養物から、(-)-マイコウスニン(I)と(+)-イソマイコウスニン(II)と命名した二種類の新植物毒素を単離した。各種スペクトルデ-タの検討から、Iは未だ詳細な構造が不明な(+)-ウスニン酸イソメキシドと推定されたので、その標品を(+)-ウスニン酸から調製し直接比較する事により同定した。そこで、^<13>C-NMRの詳細な解析により、Iの化学講造を立体構造を含めて決定した。また、IIについても同様の方法でその化学構造を決定する事ができた。これらは文献未知の新化合物である事が確認された。 2.カキ円星落葉病菌の培養法を検討した結果、マルツエキスによる液体培養から植物毒性を示す二種類の関連化合物を見いだし、その一つは結晶として単離した。(+)-オキシマイコウスニイ(III)と命名した本化合物は、分解反応および^<13>C-NMRの詳細な解析により、Iの2位に酸素原子が導入された特異な構造を持つと考えられ、Iからの酸化的直接誘導によりこれを確認した。IIIのメタノリシス生成物も培養液中から分離・同定した。 3.得られた化合物の植物毒性はI=II≧III、抗細菌活性、抗真菌活性はII≧Iで、I,IIには強い活性が認められた。IIIには弱いながら選択的な抗ウイルス活性が認められ、今後の検討結果が注目される。
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