研究概要 |
旨味や苦味遮蔽効果を有するグルタミン酸(Glu)やアスパラギン酸(Asp)などの酸性アミノ酸からなるオリゴペプチドをプロテア-ゼの加水分解反応の逆反応を利用して効率よく合成することを最終目的として研究を行った。具体的対象としてGluGlu,GluAsp,AspGlu,AspAspの4つのジペプチドの前駆体の合成を取り上げた。反応基質には酸成分としてGlu,Aspのアミノ酸がZ(benzyloxycarbonyl)基で保護されたものを,塩基成分として各アミノ酸のジエチルエステルを用いた。触媒としてのプロテア-ゼにはパパインを用いた。 (1)緩衝液中では合成反応はほとんど進まなかったが、酢酸エチルを添加した水ー有機溶媒二相系では高収率が得られた。 (2)各種担体に酵素を吸着後,グルタルアルデヒドで架橋して固定化酵素を調製した。担体としては多孔性のセラミックスが適していた。合成速度は反応液(酢酸エチル)中の水分濃度に大きく依存し,2.5%のとき最大であった。 (3)GluGluの前駆体合成時に基質の1つであるグルタミン酸ジエチルエステルが反応液中で非酵素的に環化するという副反応がみられた。固定化酵素の濃度を8%以上にすると相対的にこの副反応は無視でき,酸成分100mM,塩基成分200mMでは収率90%以上に,また両成分が100mMの場合でも80%に達した。 (4)生成物は逆相クロマトグラフィ-により精製後,質量分析,核磁気共鳴,赤外線吸収スペクトルにより分析したところ,目的の化合物(ZGlu,ZAspのα位のカルボン酸と結合を作っているジペプチド)であることが確認できた。
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