研究概要 |
土壌堆積腐植層の形成過程における土壌動物の役割を,土壌断面の微細形態の顕微鏡による直接観察と,リタ-バックグを用いた野外実験により調べた。調査地としてアカマツとヒノキ林を選んだ。 土壌堆積腐植の微形態の観寮から次のことが明らかとなった。アカマツ林,ヒノキ林のモ-ダ-型堆積腐植の形成過程において,土壌動物は,直接分解に働く動物群と間接的に働く動物群に分けられる。ササラダニなどの動物群は針葉の葉肉部分を食べ直接的に分解に仂いていた。トビムシ,双翅目幼虫などの動物群は植物遺体(リタ-)に侵入した菌(糸状菌)を食べることで菌類の分解活動を調整し間接的に分解に寄与していた。土壌堆積腐植層のK層には植物遺体一土壌動物のフンから成る固粒構造が認められた。H層は上部で形成された分解産物の集積層を形成していた。土壌動物は植物遺体の摂食,菌類の摂食によりフンを生産した土壌構造の形成に役割をしていた。ヒノキ針葉を用いたリタ-バッグの実験を行った。ヒノキ針葉の分解に伴う重量,窒素,炭素の量の変化と土壌物物群集の変化から土壌動物の分解での間接作用と摂食による直接作用が明らかとなった。土壌動物除去とコントロ-ル区での分解からコ土壌動物が菌を摂食することで土壌の菌の活性に影響し、その結果として間接的に重量、窒素の変化に働くことが明らかとなった。分解に伴う針葉の形態観察から、ササラダニの葉肉摂食が示され、直接分解の役割が示された。 観察と実験から、土壌動物の分解での役割が、直接と間接作用から成ること,さらに,フンの生産により植物遺体ーフンの固粒構造を形成し植物の養分吸収の場を作ることが示された。
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