研究概要 |
本研究は2年間にわたり継続して行ったもので,概要を示すと次の通りである。 第1年目には主に混抄機能紙のための無機系新素材/セルロ-ス混合分散系の紙料の凝集観察のための既存の流動セル・流動装置の改良を行い,可視化システムを組み立てたところ,従来より濃厚な高速流動サスペンションの凝集に関するデジタル画像デ-タの蓄積が可能となった。更にデジタル幾何学による画像解析法の確立を行い,新しい添加剤システムを含めた各種の流動混合分散系の実験デ-タを蓄積し,面像デ-タの数値的な評価法および混抄機能紙の抄紙システムにおける計測制御の可能性について検討した。更に本システムの塗工顔料の流動挙動への適用を探る目的でラテックスエマルジョン/顔料混合系の界面化学的およびレオロジ-的挙動についても検討を行なった。 第2年目には初年度の実験装置の改良による成果をふまえ,無機系新素材/セルロ-ス混抄機能紙および湿式不織布のモデルとしての配向性シ-ト調製のための紙料サスペンションの条件の検討を中心に実験を行い,主に混抄紙のデジタル画像デ-タの蓄積と解析を行ったが,混抄紙には組成成分の界面化学的特性が大きな影響を及ぼすことが明らかになった。また混抄紙の地合の解析から添加薬品の種類・組成によりフロックの大きさ,形状が大きく変動することが明かとなった。混抄紙のための紙料の最適化モデルは界面化学的・流体力学的デ-タの動的平衡状態の検討から得られる。更に詳細なフロックの状態の表現には移動体計測と組み合わせた画像と3次元表現が必要となるだろう。
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