研究課題/領域番号 |
01560189
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 光博 九州大学, 農学部, 助手 (30038301)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 化学修飾木材 / シアノエチル化木材 / 塩素処理 / ポリマ-ブレンド / 力学的性質 / 誘電性 / キレ-ト / 液晶 |
研究概要 |
木粉にアクリロニトリルを反応させる化学修飾(シアノエチル化)によって、木材に溶媒可溶性を付与した。得られた材料の力学的性質や電気的性質などの測定から、シアノエチル化(CE化)試料の特徴を明らかにすることを目的として検討した。その結果、以下の諸点が明らかとなった。 (1)CE化木材はシアノエチル化ポリビニルアルコ-ル(CE-PVA)をブレンドすることによって、良く可塑化される。また、CE-PVAとのブレンド比が高くなるに伴って、粘り強い性質が付与され、耐衝撃性が向上すると共に熱による加工性も高くなる。(2)CE化木材/CE-PVAブレンド系において、両成分の大部分は相分離状態で存在しているが、部分的に分子オ-ダ-で相溶していることが粘弾性挙動の測定から明らかとなった。(3)CE化木材は高誘電性材料であるシアノエチルセルロ-スの誘電率に匹敵する値を有する。また、両者の規格化吸収曲線は重ね合せが可能であることや誘電吸収の位置が一致するなどのことから、この吸収は側鎖の運動によるものと考えられる。さらに、主鎖に独立な局所的なこれらの分子鎖の運動性には木材成分として含まれる三次元構造を有するリグニンによる運動性の拘束はあまり影響しないことも明らかとなった。(4)CE化木材は強誘電性ポリマ-として知られているポリフッ化ビニリデンの圧電率には及ばないものの他のセルロ-ス系材料より、はるかに大きい圧電率を示す。(5)CE化木材のジメチルホルムアルデヒド溶液は濃厚状態(37%以上)で液晶を形成することや希薄濃度域(1%程度)においてもシアノエチル基と1価銅イオンとのキレ-ト形成に基く架橋によりゲルを形成する。 これらのことから、CE化木材は木質系機能性材料としての性質が高くなることが判った。
|