研究概要 |
分子量の異なる5種類の樹脂(数平均分子量:235(樹脂A)、387(B)、356(C)、799(D)、952(E))を合成し、これらの樹脂についてゲルパ-コエ-ションクロマトグラフィ-(GPC)で数平均分子量および分子量分布を測定した。これらの樹脂を木材に含浸・硬化させたが、含有率30%の処理材の吸水による抗膨潤能は樹脂Aで約70%であるが、その値は分子量の増加とともに急激に低下し、樹脂Eでは約30%となる。分子量の小さい樹脂は細胞壁中に入ってかさを増し、また高温硬化により木材実質のOH基と水素結合あるいは化学結合を生じて、OH基をブロッキングし大きな寸法安定性が得られるが、分子量が大きくなると樹脂は壁中に入らず、主として細胞内腔に多く沈着し、寸法安定性に効果をもたらさないこと、また樹脂中の2,4,6ートリメチロ-ルフェノ-ルの存在が木材の寸法安定性に大きく影響を与えることが明らかになった。低分子量と高分子量樹脂を混合したものをパ-ティクルに噴霧して単層ボ-ドを製造し、各種促進劣化試験に供した結果、ASTM処理後の厚さ膨張率は低分子量の樹脂を5%添加しただけで無処理ボ-ドのそれの約半分にまで低下そた。また、樹脂を20%含浸したボ-ドのスプリングバック量はほとんど生じない。促進劣化処理後のはく離強さは樹脂AとEの組合せによるボ-ドが大きいことなどの知見を得た。また、樹脂含有量の増加ならびにボ-ド比重の増加とともに、ボ-ドの腐朽およびシロアリ食害が低下した。樹脂を浸せき法で含浸した場合は、ボ-ド比重にかかわりなく樹脂含有率15%で、腐朽による劣化やシロアリによる食害を抑えることが可能であることが明らかになった。
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