1.アユにおけるVibrio anguillarumの侵入門戸に関する検討 菌液を含んだろ紙片を、アユの体表に1分間接触させる方法(パッチ・コンタクト法)で感染を計った結果、V.anguillarumが鰭を含む体表からアユの体内に侵入し感染することが確かめられた。特に背鰭、胸鰭基部および肛門付近が主要な侵入部位となっていることが判明したが、鰓からの侵入はあまりないものと判断された。 2.Vibrio anguillarum O抗原を用いてアユを注射法および浸漬法で免疫した結果、次のことが明らかになった。 (1)免疫後のアユの体内における抗原分布をELISA法により追跡したところ、注射法の場合は免疫直後から抗原が検出され、3から6時間後にかけ脾臓および腎臓において抗原量が最高値に達した。一方、浸漬免疫したアユの体内からは抗原は検出されなかった。 (2)注射免疫した魚では6日後に脾臓に抗体産生細胞が現れ、8日後には腎臓にも抗体産生細胞が出現し、その後両組織における抗体産生細胞数は減少し始め17日後には消失した。浸漬免疫魚では抗体産生細胞は出現しなかった。 (3)注射免疫した魚では11日後に血清中の抗体が検出されるようになり、抗体価は28日後に2^5なる最高値に達した。浸漬免疫魚においては血清抗体は終始検出されなかった。 (4)以上の実験結果から、アユにおける浸漬免疫には液性抗体は関与しないことが明らかとなり、防御に関与するのは細胞性免疫であろうと考えられた。
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