瀬戸内における島嶼部の渇水は、夏期の後半から秋にかけての期間である。基本的に降水量の多い3月〜7月までの期間をwet seasonとし、基本的には乾燥の傾向にある8月〜2月までをdry seasonとする。 年降水量の確率の分布型は正規分布することが定説となっている。しかし、瀬戸内における年降水量の確率分布は、ほぼ対数正規分布するものと考えられる。つまり、年降水量やwet season dry seasonの降水量それぞれの台風による降水量を対数確率紙にプロットすると、台風による降水量の場合を除き、それらのデ-タは、ほぼ直線状を呈す。台風による降水量の場合は、大きく曲線状を呈する。 台風による降水量(年間)は、年降水量の15.2%(高松)、16.2%(小豆島)存在する。この台風による降水量の変動係数0.636(高松)1.126(小豆島)は年降水量の変動係数0.181(高松)0.231(小豆島)の約3倍〜5倍あり一般の降水と台風による降水量の分散の大きさの違いを示している。同様に、台風の多いdry season(8月〜2月)の変動係数は、台風分離の降水量の変動係数0.303(高松)、0.324(小豆島)は、年間の降水量の約2倍の値となっている。台風による降水量の変動係数は0.713(高松)、1.373(小豆島)0.834(洲本)0.745(塩江)0.922(大三島)と比較すると、小豆島が顕著に大きく、年間と比較しても25%増となっている。台風による降水量は、当りはずれが大きいことを示し、即ち、その値は渇水・洪水の危険性を示すindexとして使えるものと考える。対称的に台風分離の降水量の変動係数は小さく、安定的な値であり、その地点におけるベ-シックな降水量である。これらの2種類の降水量が合わさって全体の降水量が形成されている訳である。今までの手法では、瀬戸内地方の降水量の分布が精確には、把握されていなかったが、開発された手法により、より精確な水資源計画が逐行されるであろう。
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