研究概要 |
1. 研究目的 この研究は,従来実用化に結びつかなかった縦波超音波に代るものとしての横波超音波を用い,各種農産物の内部欠陥を非破壊検査する方法の基礎を確立することを目的とするものである. 2. 研究計画 1)2〜100kHzの間で周波数可変の超音波発生装置を設計製作する.2)普通および桜島ダイコンならびにスイカの内部欠陥とキゥイフル-ツの熟度について,透過法で実験する.3)内部欠陥を検出するのに最適な周波数を求め,さらに1点送信・1点受信法と1点送信・3点受信法との優劣を比較する. 3. 研究成果 1)ス入りダイコンの時間軸波形は正常ダイコンに比べて振幅が小さく,パワ-スペクトルにも差がみられ,横波超音波によるス入りの判定は可能であった.2)普通ダイコンに比べて大型の桜島ダイコンにおいても同様にス入りの判定が可能であった.3)スイカの場合,空洞果の時間軸波形は正常果に比べて振幅が小さく,簡単な判別式によって空洞果を検出できた。空洞検出に最適な周波数は2kHzであった.スイカの空洞が中心にある場合は1点送信・1点受信法で十分検出できるが,中心付近以外の空洞検出には1点送信・3点受信法による方が有効であった.また,後者は前者のように正常果と空洞果のデ-タを予め用意する必要がないという見通が得られた.4)キゥイフル-ツの時間軸波形の最大振幅値と硬度との間にある程度の相関がみられた. 4. 研究の考察と展望 本研究によって、普通およダイコンならびにスイカの内部欠陥とキゥイフル-ツの熟度を非破壊的に判定できることがわかった.今後,装置および手法的な問題を解決し,早期実用化を目指したい.また,理論的研究をも進めることが必要である. 5. 購入した備品類等は,いずれも有効かつ十分に利用された.
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