研究概要 |
鶏の孵化直後の栄養(初期栄養)、生理および代謝を詳細に解明することにより、鶏の初期栄養の意義と位置付けを、鶏の生存期間全体の中で把握して確定し、さらに成長と代謝生理を初期栄養により自在に制御することを目的として、以下の成果を得た。 1.ブロイラ-の種卵を用い、腹腔に残存する卵黄を外科的に摘除して、卵黄摘除ヒナを作り、正常ヒナと比較した。その結果、(1)摘除ヒナおよび正常ヒナの体重は、2次曲線的に増加したが、摘除ヒナでは1.5日の成長の遅れがみられた。(2)飼料エネルギ-の利用性は、、いずれも孵化直後で高く、5-6日齢まで急激に低下し、その後徐々に上昇した。(3)正常ヒナの飼料および残存卵黄由来のエネルギ-(代謝エネルギ-)とタンパク質の利用率を1週間単位でみてみると、前半の1週間は43および59%であり、後半の1週間は48および63%であった。(4)残存卵黄は孵化後3日齢までのエネルギ-およびタンパク質の全摂取量の22%および30%を供給していた。 2.孵化直後のブロイラ-ヒナへ、真の代謝エネルギ-(TME)測定法を適用する場合、(1)強制給餌前の絶食時間は24時間で充分であり、(2) 強制給餌後の採糞時間は36時間が適当である。(3)TME値を算出すると、1日齢で低いものの3日齢で上昇し、以後一定の値を示した。また、1日齢において残存卵黄摘除ヒナと正常ヒナのTME値を比較したが、差はみられなかった。 3.24時間絶食させた1,3,7,および14日齢のヒナの排出するエネルギ-量と窒素量を12時間おきに測定して、その排泄パタ-ンより、内因性のエネルギ-と窒素の排泄量を推定した。代謝体重当たりの内因性の排泄エネルギ-と排泄窒素は、1日齢で低く、その後上昇して、7日齢で一定となった。
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