研究課題/領域番号 |
01560314
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 茂男 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (40109509)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | Vasoactive intestinal peptide / Peptide hidtidine isoleucine / 環状ヌクレオチド / フォルスコリン / ニトロプルシド / 細胞内Ca濃度 / 細胞内情報伝達 / 胃輪走筋 |
研究概要 |
1.迷走神経の切断中枢端及び末梢端を刺激すると、VIP及びその類似体であるペプチドHI(PHI)が、イヌの胃静脈中に放出され、胃血管拡張及び胃弛緩反応が生じた。両反応を起こす力価はVIPの方がPHIよりも高かった。2.ラット胃輪走筋標本をアトロピンとグアネチジン存在下で壁内神経刺激あるいはVIPを投与すると、弛緩反応と過分極が観察された。また、両刺激により胃輪走筋の環状AMP(cAMP)と環状GMP(cGMP)が増加した。3.壁内神経刺激とVIPによる弛緩反応、過分極及び環状ヌクレオチドの増加は、アパミン投与によりほとんど影響を受けなかった。4.ラット胃輪走筋において、VIPは高濃度KCIとカフェイン収縮に影響を与えることなくアセチルコリン(ACh)収縮を抑制した。cAMPを増加させるフォルスコリンは、VIPと同様の作用を示した。しかし cGMPを増加させるニトロプルシドは、ACpに加えて高濃度KCIによる収縮も一部抑制した。5.膜透過性環状ヌクレオチドであるジブチルcAMPと8ブロモcAMPは、VIPと同様ACh収縮のみを強く抑制したが、8ブロモcGMPは三種の収縮薬による収縮を抑制した。6.Ca蛍光指示薬であるFura IIを用いてラット胃輪走筋の細胞内Ca濃度を測定すると、AChは収縮に伴い、Ca濃度を増加させた。VIPはこれらの反応を抑制したが、細胞内Ca濃度-収縮関係を変化させなかった。7.以上の結果より、VIPは平滑筋細胞膜の過分極とcAMPを増加させ弛緩を起こすとが示唆された。VIPによるACh収縮の抑制作用は、AChがムスカリン受容体に結合し、電位依存性Caチャネルを開口させるまでの細胞内情報伝達の過程をcAMP依存性プロティンキナ-ゼの活性化を介して発現するものと考えられる。今後さらにこの情報伝達過程における作用点を明らかにしたいと考えている。
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