研究課題/領域番号 |
01560319
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
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研究分担者 |
局 博一 東京大学, 農学部, 助教授 (30142095)
菅野 茂 東京大学, 農学部, 教授 (70111482)
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 視床下部腹内側核 / 走行運動 / 本能行動 / 概日リズム / GABA |
研究概要 |
我々は脳内の細胞構築を変形させる目的で、吸水性ポリマ-ゲル(WAPGEL)の脳内局所投与投与法を開発し使用している。この方法をラット視床下部腹内側核(VMH)に適用すると、著しい走行運動が誘発され、YMH内に走行運動を誘発する神経細胞群が存在することが明かとなった[Physiol and Behav,46:713-717,1989]。この神経細胞群の生理学的な同定を、VMH内に多量に存在することが知られている抑制性伝達物質であるGABAと、その競合拮抗薬であるbicuculline methiodide(BM)を用いて行なった。GABAを混入させたWAPGELをVMHに注入するとWAPGELの注入で誘発されるべき走行運動量が混入させたGABAの濃度に依存して減少した。さらにBMを単独でVMH内へ微量注入したところ、濃度依存性に走行運動量が上昇した[Physiol and Behav:in press]。これらのことは、VMH内には、走行運動をもたらす出力性の神経細胞群は存在しており、通常これらは、GABAによって抑制されていることを示している。VMHへのWAPGEL注入がもたらす慢性的な効果を検討した。ラットの行動量は暗期に高く明期に低い24時間の既日リズムを示す。WAPGELのVMHへの注入で、約1ヶ月にわたり明期と暗期の行動量の差がなくなり、即ち、行動概日リズムが消失した。この効果は微小ナイフによるVMHの全周囲切断により打ち消された。このことはWAPGELの注入はVMH慢性的に興奮させ、その慢性的出力が生体時計を強く抑制したことを示唆している。WAPGELの注入により走行運動や概日リズムの消失をもたらす神経細胞群の投射方向の同定を、それぞれ微小ナイフによる神経切断法を用いて行なった。VMHの上方の切断によって、それらのWAPGELの効果が双方とも打ち消された。このことは走行運動と概日リズムの消失に関わる神経細胞群は、それぞれVMHから上方に出力していることを示唆している。現在は、組織化学的な方法を用い出力先の同定を行なっている。上記の結果は、投稿論文の他に第103、106、107、108回獣医学会、第61回内分泌学会神経内分泌分会で発表した。
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