研究概要 |
本研究の目的は129系マウス未分化胚性腫瘍細胞において発がん遺伝子のmycファミリ-が高レベルで発現されている事に着目しmyc pre-mRNAを含むlarge nuclear ribionucleoprotein particle(myc-spliceosome)を単離精製しその構造と機能を諸性状と共に明らかにする事を通じてmyc発がん遺伝子の発現制御の分子機構をF9-spliceosomeのレベルで解析しようとするものである。上記の研究目的を達成する上での第一義的ポイントは細胞抽出液あるいは細胞核抽出液よりsplicing反応条件下でpre myc mRNA依存性sploceosomeを生成させ適当な方法でそれらを分画する実験条件を確立する事である。そのために我々はまず生理的イオン強度下でのショ糖密度勾配遠心法と核酸ゲル電気泳動法を用いたマウス胚様体OTT6050およびF9細胞のU-snRNPの沈降特性に関する解析を行った(結果、一部発表;Jpn.J.Vet.sci.,51,251-,1989)。その様な結果、この実験条件下ではU-snRNPはlarge nuclear RNPから遊離した状態で存在する部分とlarge nuclear RNPとassociateした状態で存在する部分がある事が示唆された。又分画されたグラジェントのフラクション間でU-snRNPのそれぞれの分子種の相対量に関して差異が認められた。ついでC myc mRNAプロ-ブを用いて独自に作製したアフィニティカラムとoligo(dt)セルロ-スカラムを用いてマウス胚様体RNAよりpre myc mRNA粗画分を調整し、細胞核抽出液(15μl)0.4mM EDTA等の存在下でin vitro splicing反応を行いついでショ糖密度勾配遠心、核酸ゲル電気泳動法により解析を行った。核酸ゲル電気泳動法により得られたRNAプロファイルの結果よりsplicing反応の遂行とそれへのU-snRNP分子の関与が示唆された。また我々が報告した約90ヌクレオチド長のX-snPNP分子(Jpn.J.Vet.Sci.,49,981-,1987)がsplicing画分中に高濃度で検出される事が明らかとなった。
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